古くなった引き戸の鍵が、スムーズに動かない。あるいは、防犯性を高めるために、もっと頑丈な鍵に交換したい。そう考えた時、専門業者に頼むだけでなく、「自分で交換する(DIY)」という選択肢もあります。特に、引き戸の「戸先錠」の交換は、正しい手順と工具さえあれば、DIY初心者でも挑戦しやすい作業の一つです。ここでは、その基本的な手順をご紹介します。まず、最も重要なのが、「新しい錠前の準備」です。ここで失敗すると、後の作業が無駄になってしまいます。必ず、今付いている古い錠前を一度取り外し、その寸法を正確に測定してください。チェックすべきは、主に以下の四点です。①「フロントプレート(戸の側面についている金属板)の縦横の長さ」、②「ビスピッチ(フロントプレートを固定している上下のネジの中心間の距離)」、③「ドアの厚み(戸厚)」、④「バックセット(戸の端から、鍵穴の中心までの距離)」。これらの寸法をメモし、ホームセンターやインターネットで、全く同じ寸法の、あるいは互換性のある製品を探します。これが、DIY成功の最大の鍵です。次に、交換作業です。準備する工具は、主にプラスドライバーとマイナスドライバーです。まず、ドアを開けた状態で、古い錠前のフロントプレートを固定している上下のネジを、プラスドライバーで外します。次に、室内側の、サムターン(つまみ)やドアノブの付け根にあるネジを緩めて、内側の部品を取り外します。すると、外側の鍵穴(シリンダー)部分も、一緒に引き抜くことができます。これで、古い錠前の取り外しは完了です。あとは、新しい錠前を、取り外した時と全く逆の手順で、丁寧に取り付けていくだけです。新しい錠前本体を戸の切り欠きに差し込み、外側と内側の部品で挟み込むようにセットします。そして、室内側のネジを締め、最後にフロントプレートをネジで固定します。作業が完了したら、必ず、戸を開けた状態と、閉めた状態の両方で、鍵がスムーズに施錠・解錠できるか、鎌(デッドボルト)が正しくストライク(受け座)に収まるかを、何度も確認してください。この確認作業を怠ると、いざという時に鍵がかからない、といった事態になりかねません。正しい製品選びと、丁寧な作業。この二つを心掛ければ、あなたもDIYで、自宅のセキュリティをアップグレードできるはずです。