バイクの鍵をメットインに閉じ込めてしまっただけでも十分に絶望的ですが、もし、その時に「シャッターキー」も閉まっていたとしたら。その絶望度は、さらに数段階レベルアップします。なぜなら、問題が「メットインが開かない」だけでなく、「そもそも鍵穴にアクセスできない」という、二重の障壁となって立ちはだかるからです。シャッターキーとは、多くのスクーターに装備されている、メインの鍵穴をイタズラや盗難から守るための、金属製のフタのことです。このシャッターを閉じた状態で、メインキーをメットインに閉じ込めてしまった場合、たとえ腕の良い鍵屋さんが来たとしても、ピッキングをしようにも、その対象となる鍵穴が、固いシャッターによって覆い隠されてしまっています。この状況を解決するためには、まず、このシャッターキーを開ける作業から始めなければなりません。そのため、通常のメットイン開錠に比べて、作業の難易度が上がり、当然ながら、費用も時間も余計にかかることになります。業者に依頼した場合、通常の鍵開け料金に加えて、シャッターキーの開錠作業費として、五千円から一万五千円程度の追加料金が発生するのが一般的です。では、業者はどのようにして、この二重ロックを解除するのでしょうか。まず、シャッターキーの開錠から取り掛かります。シャッターキーの多くは、鍵の持ち手部分に埋め込まれた磁石のパターン(マグネットキー)で開ける仕組みになっています。プロの業者は、特殊なマグネットツールなどを使って、このパターンを解読し、シャッターを開けます。あるいは、シャッターの鍵穴部分から、別の方法で開錠することもあります。無事にシャッターが開いて、ようやくメインの鍵穴が姿を現したら、次に、その鍵穴をピッキングして、シートロックを解除します。このように、二段階の作業が必要になるのです。シャッターキーを閉める習慣は、愛車を盗難から守る上で、非常に有効な防犯対策です。しかし、その一方で、鍵を閉じ込めてしまった際には、それが自らを苦しめる、より高い壁となってしまうという、諸刃の剣でもあるのです。このリスクを理解した上で、日頃から、鍵の管理には、より一層の注意を払う必要があります。