鍵をなくした、閉じ込めた。パニックになり、今すぐにでも出張鍵屋さんに電話をかけたい。その気持ちは、痛いほど分かります。しかし、その受話器を取る、最後の瞬間。もう一度だけ、冷静になって、確認すべきことがいくつかあります。そのワンクッションが、もしかしたら、数万円の出費をせずに済む、起死回生の一手になるかもしれません。まず、基本中の基本ですが、「本当に、鍵はそこにないのか?」を、もう一度、徹底的に探してみましょう。人間の記憶は曖-昧です。いつもと違うポケットに入れていたり、カバンの底の、思わぬ隙間に滑り込んでいたりすることは、本当によくあります。車の中に閉じ込めたと思った鍵が、実は、ドアのポケットに入っていた、というケースも。先入観を捨て、もう一度、身の回りをくまなく探してみてください。次に、「スペアキーの存在」です。自宅の机の引き出し、実家の両親、あるいは、信頼できる友人や恋人。どこかに、あなたの家の、あるいは車のスペアキーを預けていませんか。業者を呼ぶ費用と、電車やタクシーでスペアキーを取りに行く費用とを、天秤にかけてみてください。多くの場合、スペアキーを取りに行く方が、はるかに安く、そして確実です。賃貸物件の場合は、「管理会社」に連絡してみるのも、一つの手です。管理会社によっては、緊急時用のマスターキーを保管しており、事情を話せば、開けてもらえる可能性があります(もちろん、後で鍵の交換が必要になる場合もありますが)。また、車の鍵のトラブルで、自動車保険に加入している場合は、「ロードサービス」の契約内容を確認してみましょう。保険会社によっては、鍵のインロック開錠が、無料でサービスに含まれている場合があります。JAFの会員である場合も同様です。せっかく保険料を払っているのですから、使えるサービスは、最大限に活用すべきです。これらの確認作業は、ほんの数分で終わるかもしれません。しかし、その数分を惜しんで、すぐに業者に電話をかけてしまえば、最低でも一万円以上の出費が確定してしまいます。絶望的な状況である時ほど、人は視野が狭くなりがちです。一度、深呼吸をして、「本当に、もう打つ手はないのか?」と、自分自身に問いかけてみる。その冷静さが、あなたのお金と時間を、守ってくれるかもしれません。